新型インフルエンザ 最善の備えは何か?

 新型インフルエンザの話題が盛んになってきた。鳥インフルエンザウイルスが変異して生じると予測される新型は、現在のインフルエンザより格段に高い死亡率をもたらす心配がある。厚生労働省は、わが国でこれが全国的に流行すれば、感染者は二千五百万人、死者は最大六四万人に達するであろうと予測している。これは、国民の四人に一人が感染し、そのうちの三九人に一人が死亡するという試算になる。このウイルスを甘く見ると大変なことになりそうだ。

この流行に対する対策として政府は、国民の冷静な対応を促す情報提供、行動計画としては治療薬「オセルタミビル(商品名タミフル)」の備蓄、そして国民へのワクチン接種を柱としている。ワクチンは新型ウイルスが発生後生産されるので、現在使用のワクチンを接種しても効果は期待できない。一方全国の都道府県で備蓄が進められているタミフルもその安全性が問題にされている。この薬の副作用としておう吐や下痢などの軽症状が明記されているようだが、最近ではタミフルを服用した乳幼児が数時間後に死亡した報告や、中高生の場合は服用後の異常行動が原因で死亡したとする報告があった。ワクチンの効果も確かではなく、効果が期待される薬剤にも副作用の懸念があるとすれば、いったい私たちは何をもって身を守れば良いのだろうか?

幸い私たちの体には、こうしたウイルスと闘ってくれる兵隊たち、すなわち「免疫力」というものが誰にでも備わって待機している。もしこれらの兵隊たちが強力で迅速であれば敵がどんなに強力であっても恐れることは無い。そしてこれらの軍隊を強固にする術は誰にでも手の届くところにある。それらは新鮮な空気、日光、十分な睡眠、新鮮な野菜や果物を豊富に食べる健康食などであり、日常生活の中でこれらを実行するならば確実に体は強められていくことを体感できるはずである。さらには感染した場合にはどうするかなどの自然療法を学んでおくならば一層心強い。政府が二千五百万人分のタミフルを備蓄する努力を続けているように、私たちもまた、日々最善の生活習慣を実行し続け強い免疫力を備蓄したいものである。間もなくやってくると懸念される恐ろしい状況に備えて。

トータルへルス誌 第34号 巻頭言より
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