ちょっとの奮起と意志が必要ですが


 米国民の現代医学離れは、年々加速度的に進んでいるようだ。街角にはハーブの量り売りスタンドがあちらこちらに見られ、サプリメントはコンビニにさえ並んでいる。人々は自分には何が良いのだろうかと情報探しをする中で、ウェブサイトでの代替医療関連情報も実に豊かだ。―糖尿病患者1600万人を抱えるアメリカ―そんな中で、米国の健康政策局が4年間に渡って行った糖尿病予防策の研究の結果「これが一番ですよ」というリポートを発表した。

 この研究に被験者として参加したのは、糖尿病予備軍とされる3200人の人々。彼らを無作為に3つのグループに分け、ひとつのグループは、低脂肪の食事と毎日30分間の運動、二つ目のグループは、血糖値抑制剤であるグルコフェージ850mgを1日2回服用、3つ目のグループはグルコフェージの偽薬服用であった。4年後、1グループの人々の糖尿病になる危険率は平均で58%減少、60歳以上の人たちは71%も減少した。2グループは31%の減少だった。この結果、薬のグループと、ライフスタイルを変えたグループとではおよそ2倍もの効果の違いが見られたというのだ。違いは効果だけではない。費用の面で言えば、グルコフェージ服用は、1日1885円(日本から個人輸入した場合)、4年間ではなんと268万6,000円という金額になる。運動と低脂肪の食事をした人々はもちろん費用はかからない。しかも、低脂肪食の脂肪量も、国民の平均脂肪摂取量の約6割で、彼らの食事にそれ程大きな犠牲を払ったわけではない。運動も日々わずか30分歩く程度である。

 今回、米国政府での綿密な調査によっても実証されたニュースタート健康法は全くすばらしい。毎日続けるためには、ちょっとの奮起と意志が必要だが、自分のできる一つか二つだけでも続けるならば、次第に体が違ってくるのが感じられる。そして、体の調子がよければ、気持ちまで晴れてくるはずだ。

 乳腺症で28年間もしこりがあった50代の女性が、編集部の勧めで乳製品をやめ、人参とトマトのジュースを搾って飲み始めた。その結果、2ヵ月で10円玉大ほどあったしこりが完全に消失した。彼女の場合は食生活の中からたった1品目を排除して、1、2品目のよいと言われるものを加えたにすぎない。しかしその効果は著しかった。ニュースタート健康法を実践するのは難しいとはよく耳にする言葉である。たとえ健康法の全てを取り入れられなくても,自分の出来ること、良いと知った一つのことだけでも生活の中に取り入れてみることをお勧めしたい。運動も、腰が上がるのにわずかの奮起がいるが、習慣になれば日々爽快感を味わいながら続けることが出来る。三日坊主タイプの人も、三日ごとにニュースタートすれば良い。さあ、今日からでもニュースタート!
トータルへルス誌10号 巻頭言より
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