新鮮な空気から得る活力
 人が健康になりたいと思う時、まず考えるのが、「何を食べれば良いか、何を飲んだら良いか」ということがほとんどのようだ。加えて自分の症状を改善してくれそうなサプリメントなどを見つけて、それらに期待をかける。しかし、もし、そうした食品に加えて、新鮮な空気を胸いっぱいに呼吸する事を意識するならば、効果は一層高まる。

 血液は良い栄養と酸素が十分に供給されて始めて活力を得る。酸素の力が体内でどれほど威力を発揮しているかを語る次のような例がある。ペルーのある家族に8歳になる男の子がいた。この子は生まれつき心臓が未発達のため、心機能は通常の半分しかなかった。そのため、いつも疲れていて、皮膚は紫がかっていた。父親は彼を楽にさせたいと願ったが、それには非常に難しい手術を受けさせなければならなかった。しかしその手術は高額であったため、あちらこちらに援助の手紙を出したところ、ブラジル大統領からも援助の申し出を受け、ペルーと双方で手術費用を助けてくれることになった。両親は喜び勇んで子供を連れてリオデジャネイロに向かった。しかしそこで思いがけないことが起こった。8年間も続いていたその子の苦しみは、リオに着いてから数日後にほとんど収まったのだ。

 この現象を、ブラジル国立心臓研究所のある医師は「この親子が住んでいたクスコと言うところは標高三三六〇メートルあり、酸素が少ない地域だったので、海のそばにあるリオデジャネイロについたとたんに、長年のチアノーゼが直ったのだ」と説明している。器質的欠陥があった心臓も十分な酸素によって機能した事実は、酸素のすばらしさを確かに物語っている。

 酸素は脳の働きも活性化する。ある学校で生徒を二組に分け数学のテストをした。一組は深呼吸を何度もしてからテストを受けさせた。この子供たちの成績は、深呼吸をしないで受けた生徒たちの平均点に比べて明らかな好成績であったという。念のためもう一つの実験として、二組とも深呼吸をしないでテストを受け、次には同じテストを深呼吸をしてから受けたところ、先には答えられなかった問いにも今度はよく答えることが出来たと言う。

 あまりの疲労感のため、横になる以外何もできないという状態の時、窓を開け幾度も深呼吸をして楽になった経験が筆者にもある。われわれが、もっともっと深い呼吸を意識して毎日実行するならば、頭脳も肉体もさらに快調に機能するのかも知れない。心身の健康増進と若返りを望むならば、胸いっぱいに新鮮な空気を入れる習慣をぜひ身につけたいものである。

(参考)
ANANOVA : 23rd July 2003
http://www.ananova.com/news/story/sm_802489.html?menu=news.weirdworld.heartwarmers

トータルへルス誌21号 巻頭言より
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