[PR]川越まつり
お知らせ2024年度 ニュースタートクッキング in 東京 原宿

 栄養について

バランスよく栄養をとり、体調を整えるのに菜食は大変優れています。
サンプル画像

 

健康法としての菜食

欧米ではベジタリアン(菜食主義者)は一つの健康法として定着し、旅をしていても、少なからぬレストランで、菜食メニューを、選ぶことが出来る。例えば米国栄養士会は菜食主義が、健康的な習慣で、色々な病気の予防上益があることを公認している。肉食民族とも言える彼らは、近年肉食の害を思い知らされ、国を挙げて、動物性脂肪を減らすように努力している。

しかしながら、残念なことに、日本においては菜食主義は市民権を得ていない。栄養学者も栄養士も、十分な菜食主義の知識なしに、菜食は低蛋白をもたらしたりして危険であると考えているらしい。科学的に見て、これは間違いであり、栄養不足どころか、栄養過剰を補正し、より良い健康状態をもたらしてくれるのである。

日本においても、動物性食品過剰による生活習慣病の増加が大きな問題となっている。このような時期に、オンラインで多くの方々に、菜食栄養学をご紹介できることは、時期を得たことであると思う。日本人の食生活の歴史を見ても、つい近年まで、菜食に近い食生活であった。このオンラインでご紹介していく料理も、低脂肪、高繊維、高ビタミン、高ミネラル食を、提供しており、これはほとんど、あらゆる疾病の予防に益がある。どうか、実際に作ってみていただきたい。実践者には、自分の健康状態が向上していくことが感じられるはずである。

(水上治 医学博士 米国公衆衛生学博士 東京衛生病院医師  日本健生協会理事)

 

菜食による持久力

肉食をしていた人々が菜食を始めると、一時的に弱くなるように感じる事があり、強くたくましい感じがしないことを心配します。多くの人は、肉や牛乳は強い体を作ると教えられて成長してきました。そしてそれらの考えは見事に神話化しました。運動競技をする人々はもう何年も前から、動物の脂肪や蛋白質は持久力をつけるためには役に立たないと知っています。

スカンジナビアの研究者パー・オルフ・アストランド博士が、1960年に行った「食事の質と持久力」に関する古典的研究があります。それは、高度な訓練を受けた9人の運動家を対象に実験したものです。アストランド博士はそれらの運動家たちに、グループごとに、3つのタイプの食事をさせて、その食事を3日ごとに変えました。そして3日間それぞれの食事をした後に、各運動家に疲れきるまで高速で自転車のペダルを踏んでもらいました。

結果は、次の図のように、菜食をした後の運動家たちの持久力が最も勝っていました。

● 肉の多い食事(蛋白質と脂肪の多い食事)をした人は、およそ1時間後に疲れきってしまいました。

● 肉、脂肪、蛋白質が少なく、植物性食品の多い混合食をすると、肉食の人の約2倍、合計でおよそ2時間高速でペダルを踏むことができました。

● ところが、純菜食をすると3時間近くも踏み続けることが出来、肉食の人の3倍近くも優れた持久力を示しました。

 持久力のこの劇的改善は動物界を鋭く観察している人々には驚きではありません。何といっても、雄牛、象、馬は菜食で力や持久性にすぐれています。馬は何時間も高速で走ることができます。象は高速でまっすぐになんと10‐12時間走ることができます。その体重(6トン以上)で時速25マイルで10‐12時間まっすぐに走り続けることが想像できますか。一方肉食の大型の猫科動物、チーター、トラなどはスタート時はスピードが出ますが、およそ5分以内で疲れてしまいます。動物界では、持久力、すなわち長時間のエネルギーを出し続ける力は、菜食動物の大きな特徴なのです。

 

自然の食物に備わる完全栄養

タンパク質もカルシウムも十分

自然界にある植物だけを食べる、いわゆる完全菜食の栄養的完全さについて、あらゆる科学的証拠があるにもかかわらず、そのような食事は蛋白質やカルシウムの面で足りないと信じている古い学者達がまだいます。1950年の、ハーバードの研究者によると、完全菜食は蛋白質も全く十分であることを示しています。また完全菜食をしている人は、肉や乳製品を消費している人々よりもカルシウム摂取量が少なくても大丈夫である事を指摘しています。植物食には緑の葉野菜などのように多種多様のすばらしいカルシウム源があります。

ビタミンやミネラル、それに多分未発見の栄養素も?
サンプル画像

また豊富な果物、穀類、野菜を土台とした食事は、健康に欠かせないビタミンやミネラルはもちろん、まだ発見されていない多くの要素も提供してくれます。やがてそのうち科学者が植物性食品に含まれる健康的化合物をさらに発見し、実験室でその作り方または分離の仕方を突き止め、サプリメントにして市場で販売するようになるかもしれません。けれども、あなたが果物、野菜、未精白穀類、ナッツや種実をほどほどに食べているならば、科学者が栄養や成分を発見する以前から、健康に必要なすべての栄養を取り入れていることになるのです。

 

 

菜食の唯一の難点ビタミンB12について

しかし、完全菜食の食事には、ただ一つの栄養素について悩みがありました。それはビタミンB12です。興味深いことですが、このビタミンはほんの少量、一生の間にわずか、0.35グラムほど必要なだけなのです。ビタミンB12の必要は、ごくわずかであるにもかかわらず、全く欠乏すると貧血や神経系の問題などが生じる原因となります。最近まで、ビタミンB12に関し信頼できる植物からの摂取源を見つけた人は一人もいませんでした。その結果、菜食者の多くは欠乏を心配して、毎年血液検査してチェックしなければとか、安全のためにこのビタミンを食事に補強すべきだと感じていました。

B12についての新しい発見

スイスの研究者、A・モザファル博士はある植物にはビタミンB12が含まれていることを発見しました。25,26さらに彼は、有機栽培された植物食には化学肥料で栽培されたものよりも、細胞の中により多くビタミンB12が含まれているのではないかということを確かめるための研究を指揮しました。彼の研究結果は図7:有機栽培植物の方に多いビタミンB12、で示しています。

B12は大豆、大麦、ほうれん草に見つかること、そして有機栽培されるとB12の量は目立って高くなることに注目してください。この研究はまたたくまに衝撃波を生み出しました。モザファル博士の発見は、ビタミンB12は従来育てられている植物には見つからないという既存の栄養学の立場に反します。化学肥料栽培植物でさえもビタミンB12を測定したと彼が報告して以来、ある栄養専門家達は彼の仕事は疑わしいと言明しています。

サンプル画像

その研究は多くの疑問を起こさせました。B12の測定に間違いはなかったのか?研究に使った土壌に何か違いはなかったのか?本当にある種の有機栽培植物におけるB12の含有量は増えるのか?モザファルの研究を確かなものとするにはさらに研究が必要です。ある人々は今、完全菜食をし、ビタミンB12のサプリメントを用いなくても身体にとってすべての栄養の必要を十分満たすと断言しています。

B12―現段階でのお薦め

あらゆる研究者たちの答がすべて出揃うまではっきりしたお薦めは控えたいと思いますが、現段階では完全菜食者は規則的にビタミンB12のサプリメントを摂取するか、朝食用のシリアルや植物性たんぱく食品のようなビタミンB12を添加した食物を、ごくたまに食べることを薦めます。ミルクの代用となるものの中にはB12の含有量が牛乳に等しいか、それ以上のものがあります。平均的な人にとっては、一日おきに5マイクログラムほどの少量で充分です。

(参考図書:ニール・ネドレイ博士著 プルーフポジティブ)

 

栄養及び健康的な食生活についてのさらに豊富な情報が、冊子「トータルヘルス」2号~4号で、8号から12号ではネドレイ博士の「タンパク質の神話」という記事に掲載されています。また完全菜食を中心にして重症のガンがいやされた体験の記事は6号にあります。

 

次へ 蛋白質の話 


このページのトップへ