蛋白質の話
蛋白質
身体組織を作るタンパク質
タンパク質は英語でprotein(プロテイン)。もともとはギリシャ語で、「第一の」という意味があります。身体にとって一番大切な成分と言う意味合いがあるのでしょうか。
確かに、身体組織はタンパク質で作られています。筋肉、内臓、血液、骨、髪の毛、爪、ホルモン、リンパ液、酵素などがそうですが、栄養素における必要性の順位などは無いのです。最近の栄養学では、タンパク質以外の栄養素の重要性が強調されてきました。
タンパク質が体内で消化されると、22種のアミノ酸に分解して吸収され、血液を通して身体の各組織に適合した新しいタンパク質に合成されます。
過剰なタンパク質は肥満の原因にもなる
タンパク質を多く摂取したからといって、立派で強靭な体格ができるかというとそうではありません。身体に必要なタンパク質は、必要なときに必要な材料を使って適宜作られているのです。身体の組織を合成して余ったアミノ酸は、体内に余剰エネルギーとして貯蔵されるだけで、タンパク質の大半はエネルギー源として消費され、身体を作る材料にはならないどころか肥満の原因にもなります。したがって、タンパク質は過剰摂取には気を付けなければなりません。
植物性食品にも豊富に含まれるタンパク質
身体組織の重要な構成成分ですから、毎日、毎食、必ず摂取する必要があります。ところで、次の表でわかるようにタンパク質は動物性食品だけでなく、植物性食品にも豊富に含まれています。
食品中のタンパク質含有量(100g中) | |
果物0.2~1.0 % 穀類7~10 % 魚介類 17~20 % 野菜2~5 % 小豆類 19~20 % 肉類19~22 % 海藻類(乾物)20~30 % 大豆類 30~40 % 卵類10~12 % 種実・堅果類 18~19 % 豆腐7~8 % 乳類3~4 % |
人の健康と蛋白質
動物性タンパク質の植物性タンパク質の違いは質ではない
タンパク質を一般的には「動物性タンパク質」、「植物性タンパク質」の二種類に別け、あたかも別の成分であるかのごとく扱われていますが、「動物性」、「植物性」といっても、タンパク質の構成成分であるアミノ酸の種類は同じで、ペプチド結合という結合方法もまったく同じです。違いは、アミノ酸配列の順番、タンパク質の分子量の大きさなどです。しかし、大きく異なる点がタンパク質と結合している他の成分で、脂質、糖、ミネラルなどです。
動物性タンパク質には他の成分が結合している
動物性タンパク質には、他の様々な成分が結合しており、特に金属や脂質と複雑に結合しているのです。その理由は、動物の身体の構成成分だからです。
植物性タンパク質は純粋で消化吸収しやすい
一方、植物性タンパク質は植物本来の栄養源としてタンパク質を保持しており、その殆どが純粋なタンパク質で、人体にとっても殆ど害が無く吸収でき、利用することができますが、動物性タンパク質は消化、吸収できないのです。
このように、動物性と植物性とでは、単純に比較すれば同じ成分であっても、消化、分解、吸収に大きな差があります。大切な事は、人体にとってどう作用し、有害か、無害かということではないでしょうか。
動物性タンパク質摂り過ぎの弊害
肉食をすると、その一部はアミノ酸にまで分解され、身体の構成成分に再合成されて利用されますが、タンパク質と結合している脂質が複雑な構造を持つために、その分解過程で酸素との結合によって活性酸素(free radical)をはじめ、様々な有害物質が産生されます。さらに、動物性タンパク質に結合している脂質は、酸化して過酸化脂質となり、血管の壁に張り付いて血管の老化を促進させ、脆くしてしまいます。動物性タンパク質の摂取過剰による弊害についての研究報告は、枚挙に暇がありません。
☆子供の早熟傾向・・・人は、約20年をかけて肉体と精神が程よいバランスで成長していくように出来ているのですが、最近では14~15歳で身体が成熟してしまい、精神発達がそれに追いついて行けないという現象が起こっています。肉食によって、性ホルモンの産生量も多くなり、特にプリン塩基という物質は、脳下垂体を刺激して異常な性的興奮を誘発します。したがって、ホルモン関係の病気の発生率が増加し、性犯罪発生率の増加という、思わぬ事態をも招く事が考えられます。
☆精神的障害の発生・・・もともと人の消化器官は草食動物に近く、菜食型消化器官と言えます。動物性タンパク質に結合している脂質が酸化することによって過酸化脂質に変化する事は前述した通りですが、この過酸化脂質は血液を有毒の状態にして、肝臓や腎臓を攻撃し、正常な代謝を阻害します。したがって、精神的、肉体的な疲労を蓄積させ、さらに交感神経の興奮をもたらす神経ホルモンのカテコール系アミンは、焦燥感やイライラ感を増幅し、直情傾向の体質を作ってしまいます。
アレルギーと蛋白質
アレルギーと言う言葉の語源はラテン語の「アロスエルゴン」で、奇妙な・風変わりな反応と言う意味です。
今や現代日本人の中で、このアレルギーを持たない人はいないと言われるほど、増加の一途をたどっているのです。アレルギーになる原因は様々ですが、ここでは「食」の角度から考えてみたいと思います。
私たちの食生活は、戦後50年の間に大きく変化しました。
「大きい事は良い事だ」「タンパク質が足りないよ」「米を食べると頭が悪くなる」など、根拠のないまやかしの宣伝によって、それまで日本人が摂取するタンパク質といえば、米や大豆など植物性タンパク質が主でしたが、肉・牛乳・卵などの動物性タンパク質が前者に取って代わり、その摂取量の増加に伴ってアレルギーや癌などの病気に罹る人が多くなりました。
アレルギーと密接な関係のあるタンパク質
アレルギーとタンパク質は密接な関係があります。アレルギーはタンパク質の摂り過ぎによって起こってくるともいえるでしょう。これは、大きな病気になる前の、言わば身体からの警鐘です。
アレルゲンを持っている人でも、たんぱく質過剰でない限り、その反応は、あまり起きません。身体の中でタンパク質が飽和状態になり、警鐘を鳴らすために様々なアレルギー症状を起こすのです。
植物性タンパク質を少々摂り過ぎてもこのような事は起こらないのですが、アレルゲンとなりやすい動物性タンパク質が摂取過剰になると、それまで摂取しても何ともなかった植物性タンパク質にもアレルギーを起こすようになり、日本人の主食である米にさえ反応するようになって来ます。
「トータルヘルス」誌8号~12号では、たんぱく質についてさらに豊富な情報が掲載されています。